リスティング広告のEC・通販での活用法を解説!ショッピング広告やSEOとの違いも
この記事でわかること
- リスティング広告の仕組みと特徴
- ショッピング広告との違いとSEOとの関係性
- 広告掲載位置を上げるポイントと予算管理の重要性
- 費用対効果を高める運用テクニックと自動入札の活用法
- 収益性の高い商品・キーワードの見つけ方
- シーズン需要の取り込み方とブランド認知向上への活用法
ECサイトの売上アップに欠かせないのがリスティング広告です。
本記事では、リスティング広告の基礎知識から、広告運用のコツ、売上につなげるための活用事例まで、体系的に解説します。初心者からも分かりやすく、実践的なノウハウが満載。リスティング広告を制して、ECビジネスでの成功を手に入れましょう。
目次
リスティング広告とは?検索連動型広告の基本を理解しよう
まずはリスティング広告の基本から分かりやすく解説します。
リスティング広告の仕組みと特徴
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果ページに表示される、検索連動型のインターネット広告です。ユーザーが検索したキーワードに関連する広告が表示されるため、高い広告効果が期待できるのが特徴です。
リスティング広告には以下のような特徴があります。
クリック課金制:広告がクリックされた際にのみ課金される仕組み
入札方式:広告主同士が広告枠を競り合う仕組み
運用型広告:日々改善を繰り返しながら出稿を最適化していく必要がある
検索連動型であるため、ユーザーが能動的に検索したキーワードに関連した広告を表示できる点がリスティング広告最大のメリットです。商品やサービスに興味関心が高い見込み客にアプローチできるため、高い効果が期待できます。
リスティング広告の基本や仕組みは『リスティング広告とは|仕組み・運用・成功の秘訣を初心者向けに解説』の記事をご確認ください。
ショッピング広告との違いを把握する
リスティング広告には、テキスト形式の広告の他に、ショッピング広告と呼ばれる広告の種類があります。ショッピング広告の大きな特徴は、商品画像や価格が表示される点です。
テキスト広告との主な違いは以下の通りです。
・商品画像や価格、レビュー点数などが表示される
・広告入稿にはフィードの作成が必要
・広告表示にはGoogle側の審査がある
・入札額だけでなく関連性なども考慮されて表示される
ショッピング広告は商品画像を見て直感的に訴求できるというメリットがある一方で、広告の作成に手間がかかるというデメリットがあります。EC事業者はテキスト広告とショッピング広告、両方の特性を理解した上で使い分けることが重要です。
リスティング広告とSEOの違いと使い分け方
リスティング広告は、検索結果ページの広告枠に表示される点でSEO対策と類似しています。しかし、その仕組みは大きく異なります。
主な違いは以下の通りです。
・広告枠への表示はリスティング広告、自然検索結果への表示はSEO
・リスティング広告は広告費が発生する、SEOは基本的に無料
・短期的な効果はリスティング広告、中長期の効果はSEO
・リスティング広告は即時性・柔軟性が高い、SEOは時間と手間が必要
これらの違いを理解した上で、両者の特性を活かした使い分けが重要です。たとえば、新商品の告知や季節商品の訴求にはリスティング広告を活用し、ブランド認知度向上や安定的な集客にはSEOを活用するなど、両者をうまく組み合わせながらWebマーケティング戦略を練ることが大切だと言えるでしょう。
詳しくは『リスティング広告とSEOの違いや使い分け・相乗効果を徹底解説』の記事で解説しております。
リスティング広告でEC・通販サイトの売上アップを実現する方法6選
ここでは、リスティング広告でEC・通販サイトの売上アップを実現する具体的な方法を紹介します。
1.広告ランクを向上させる
広告ランクを向上させると費用対効果が高まります。
広告ランクはリスティング広告の掲載順位を決める重要な要素で、広告ランクが上がると低い入札価格でも上位に表示することができます。
広告ランクとは、Google広告の入札オークションにおいて、広告の表示順位を決定する指標です。広告ランクは、広告の品質と上限クリック単価(入札単価)、広告アセットなどによって決まります。
順位が上位になると広告のクリック率やクリック数が伸長します。広告ランクの向上は特に広告の品質を高めることが必要です。
広告の品質は、Googleのリスティング広告がユーザーに提供する価値の度合いを指します。
これは、広告がユーザーの検索クエリや意図にどれだけ適合しているか、提供されるランディングページの体験がどれだけ質が高いか、そして広告自体がどれだけ関連性があるかによって決定されます。同じ入札単価の場合、広告の品質が高い広告がより上位に表示される仕組みになっています。
広告ランクは『広告ランクを上げる方法を現役運用者が徹底解説!上位表示の秘訣5つ』の記事で詳しく解説しております。
下記公式ページも合わせてご確認ください。
・広告ランクについて – Google 広告 ヘルプ
・広告の品質について – Google 広告 ヘルプ
・上限クリック単価 – Google 広告 ヘルプ
2.獲得につながるキーワードを追加する
獲得につながるキーワードを追加しましょう。改めて、ターゲットとなるユーザーのニーズやインサイト、行動を深堀りすることで見落としていたキーワードが見つかるかもしれません。
また、広告を配信した検索語句の中から、獲得につながりそうなキーワードをピックアップして追加しましょう。
キーワードの選定方法については『【決定版】リスティング広告で成果を出すキーワード選定|簡単6ステップでわかりやすく解説』の記事で詳しく解説しております。
3.除外キーワードを設定する
獲得につながらないキーワードを除外することも重要です。配信前に除外キーワードを設定しつつ、配信後もキーワード毎の効果を見て除外キーワードを登録しましょう。
配信前の除外キーワードの選定方法は『配信前の除外キーワードの選び方』を、配信後は『配信中の除外キーワードの選び方』をご覧ください。
4.マッチタイプを絞る
マッチタイプはリスティング広告を表示する際に表示範囲を設定できる機能です。マッチタイプは完全一致、フレーズ一致、部分一致の3種類あります。
費用対効果を高めるためには、マッチタイプを有効活用しましょう。
少額予算でリスティング広告を開始する際は、まずは全てのキーワードを「フレーズ一致」で登録して、コンバージョンが多く獲得できたキーワードは「完全一致」に絞って費用対効果を高めましょう。
マッチタイプの詳細については『マッチタイプを徹底解説!3種類の違いと正しい使い分け方とは?』の記事をご覧ください。
『キーワードのマッチタイプについて – Google 広告 ヘルプ』も合わせてご確認ください。
5.魅力的な広告文の作成
ユーザーの悩みやニーズを捉え、それを商品やサービスを利用することで解決できるという点を広告文で訴求することで、コンバージョンにつながる可能性の高いユーザーが広告をクリックしやすくなります。
また、ユーザーのクリック率を高める、魅力的な広告文の作成にはいくつかの効果的なテクニックがあります。まず、広告文の見出しに「コンバージョン率を改善する5つの方法」といったようにターゲットキーワードと数字を盛り込むことで、ユーザーの注目を集めることができます。
また、説得力のあるアクションフレーズを使い、ユーザーを行動に移させるのも重要です。「今すぐチェック」や「無料で試す」などの言葉を活用しましょう。
リスティング広告の魅力的な広告文の作成方法については『リスティング広告のクリック率を上げる広告文のコツ11選|NG例とOK例で徹底解説!』で詳しく解説しております。
6.ランディングページの改善
ユーザーが広告をクリックした後に訪れるランディングページの質も、費用対効果に大きな影響を与えます。ランディングページは、広告で訴求した内容と一致し、ユーザーの期待を裏切らない内容である必要があります。
費用対効果を高める上で、分かりやすいナビゲーションやユーザーのニーズに合ったコンテンツ内容への改善が重要です。
成果の出るランディングページ(LP)の作り方や改善方法は『LPがリスティング広告の成果を決める理由と良いLPの作り方を解説!』の記事で詳しく解説しております。
リスティング広告運用における注意点4つ
リスティング広告を運用する際にはいくつかの注意が必要です。ここでは主な注意点を4つご紹介します。
1.獲得単価(CPA)とLTVを意識した予算管理の重要性
リスティング広告運用では、費用対効果を適切に管理するために、獲得単価(CPA)を常に意識する必要があります。CPAとは、1件の成約に要した広告費用のことで、売上とコストのバランスを表す重要な指標です。
しかし、CPAを見るだけでは不十分で、顧客生涯価値(LTV)も考慮に入れる必要があります。LTVとは、一人の顧客が生涯にわたってもたらす利益の総額のことを指します。
たとえCPAが高くても、その顧客のLTVが十分に高ければ、トータルでは十分に採算が取れるということになります。逆に、CPAが低くてもLTVが低ければ、長期的には利益を生み出せないでしょう。したがって、リスティング広告の予算管理においては、CPAとLTVの両方を意識しながら、最適なバランスを見つけることが重要です。
具体的には、以下のような施策が考えられます。
- 商品やサービスごとにCPAとLTVを算出し、優先順位をつける
- CPAが高くてもLTVが高い見込みの商材には積極的に予算配分する
- 一定期間の累積利益をモニタリングし、予算配分を最適化する
- 既存顧客のLTVを高めるための施策(リテンションマーケティング)を並行して行う
CPAを適正な範囲に抑えつつ、LTVの最大化を図ること。そのバランス感覚が、リスティング広告予算管理の肝となるのです。
2.広告費用対効果(ROAS)を高める運用テクニック
ECサイト運営において重要なのが、広告費用対効果(ROAS)の向上です。ROASとは、広告費用1円あたりの売上金額を表す指標で、高ければ高いほど効率的な広告運用ができていると言えます。
ROASを高めるためには、以下のような運用テクニックを駆使する必要があります。
- 商品の価格や利益率を考慮した入札単価の設定
- 購買意欲の高いキーワードへの予算集中
- 広告文やランディングページの最適化によるコンバージョン率の向上
- 商品の売れ筋や在庫状況に応じたキャンペーン設計
- 曜日や時間帯による入札額の調整
- リピート顧客の獲得やLTVの向上につながる施策
これらの施策を通じて、売上を伸ばしつつ広告費用を抑えることで、トータルのROASを高めていくことが可能です。
ROASの目標値は業界や商材によって異なりますが、少なくとも500%(広告費用の5倍の売上)は目指したいところです。継続的な改善を通じて、高いROASを維持できる運用体制を構築していきましょう。
3.自動入札の仕組みと使いこなすコツ
リスティング広告の運用効率を高めるための機能の1つが、自動入札です。自動入札とは、広告主が設定した目標に基づいて、入札単価を自動的に最適化してくれる機能のことを指します。
自動入札には、主に以下のような種類があります。
- コンバージョン数の最大化:コンバージョン数が最大になるよう入札単価を自動調整
- コンバージョン単価の目標値:目標のCPAを達成するよう入札単価を自動調整
- クリック数の最大化:予算内でクリック数が最大になるよう入札単価を自動調整
メリットは、手間を削減しつつ最適な入札単価を維持できる点。デメリットは、アルゴリズムに委ねるため、思わぬ高額クリックが発生する可能性がある点です。
自動入札を使いこなすためには、以下の点に留意が必要です。
- 一定期間の運用データを蓄積してから利用する
- 商品ごと、キャンペーンごとの特性を考慮して設定する
- 目標値は現実的な範囲で設定する
- 定期的にデータを分析し、必要に応じて設定を見直す
自動入札は強力な機能である一方、使い方を誤ると逆効果になることも。十分な理解と注意深いモニタリングのもと、上手く活用していくことが大切だと言えるでしょう。
下記の記事も合わせてご確認ください。
・「クリック数の最大化」入札戦略について – Google 広告 ヘルプ
・目標インプレッション シェアに基づく入札について – Google 広告 ヘルプ
・「コンバージョン数の最大化」による入札について – Google 広告 ヘルプ
・「コンバージョン値の最大化」入札戦略について – Google 広告 ヘルプ
4.ショッピング広告を併用する際の注意点
EC・通販事業者にとって、ショッピング広告の併用は売上アップに欠かせない施策ですが、その運用には十分な注意が必要です。
ショッピング広告を運用する際の主な注意点は以下の通りです。
- 正確で魅力的な商品データフィードを作成する
- 入札戦略は商品ごとの価格や利益率を考慮して決める
- 人気商品や売れ筋商品に予算を集中させる
- 商品の在庫状況を常に把握し、在庫切れ時は広告を停止する
- 商品画像や価格の影響が大きいため、定期的に見直す
ショッピング広告はテキスト広告とは異なる特性を持つため、両者の使い分けを意識することも大切です。商品の特性や買い手の行動パターンを考慮しつつ、それぞれの広告手法の強みを活かした運用を心がけましょう。
ショッピング広告の運用には商品データフィードの最適化や入札戦略の工夫など、専門的な知識が求められるため、必要に応じて代理店の活用も視野に入れるとよいでしょう。
売上拡大に繋げるリスティング広告活用事例2点
費用対効果の高い商品・キーワードの発見方法
リスティング広告で売上を効率的に拡大するためには、費用対効果の高い商品やキーワードを見つけ出し、そこに経営資源を集中させることが大切です。
この発見プロセスで重要なのが、データ分析です。キャンペーンやアドグループ、広告、キーワードなど、様々な階層で以下のようなデータを分析することで、効果的な商品・キーワードが見えてきます。
- インプレッション数、クリック数、クリック率
- 平均掲載順位、平均CPC
- コンバージョン数、コンバージョン率、コンバージョン単価
- 売上金額、ROAS
これらのデータから、クリック率とコンバージョン率が高く、コンバージョン単価が低い、いわば「効率のよい」キーワードや商品を特定し、そこに予算を集中的に配分することで、売上の最大化を図ることができるでしょう。
分析と並行して、商品ラインナップの見直しも重要です。収益性の高い商品を厳選し、広告を集中的に出稿する。逆に収益性の低い商品は思い切って広告を停止し、予算を他に振り分ける。このメリハリのある商品選定が、費用対効果を高めるカギとなります。
シーズン需要を取り込む広告出稿の実例
多くの商材には、季節や時期による需要の変動があります。バレンタインデー、母の日、クリスマスなどのイベント時期や、夏物・冬物などのシーズン商品です。これらの需要を確実に取り込むことが、売上拡大のカギとなります。
シーズン需要に対応した広告出稿の成功事例としては、以下のような施策が挙げられます。
- シーズンの1~2か月前から広告出稿を開始し、認知度を高める
- 需要ピーク時に向けて予算を増やし、検索上位を確保する
- 特設ランディングページを用意し、商品の魅力を訴求する
- リマーケティングを活用し、購入に至らなかったユーザーを再度呼び込む
- 競合他社の動向を分析し、差別化ポイントを打ち出す
重要なのは、シーズンの特性をしっかりと捉え、適切なタイミングで適切な施策を打つこと。準備が遅れると需要を取りこぼしてしまう一方、早すぎると無駄打ちになってしまいます。
需要パターンを分析し、綿密なスケジュールを立てることが肝要です。さらには在庫管理の最適化や、サイトパフォーマンスの改善など、広告以外の施策にも気を配る必要があります。シーズン商戦を制するには、トータルでの準備と実行力が問われるのです。
ブランド認知向上に活用した事例
リスティング広告は、ダイレクトレスポンス(直接的な売上)だけでなく、ブランド認知の向上にも活用できます。検索結果の上位に常時表示されることで、ブランドの露出機会が増え、ユーザーの記憶に残りやすくなるからです。
ブランド認知向上に特化したリスティング広告の事例としては、以下のような手法が見られます。
- 商品名だけでなくブランド名も盛り込んだキーワードを設定する
- ブランドの強みや価値観を打ち出した広告文を作成する
- ブランドサイトへの誘導を主目的としたキャンペーンを展開する
- バナー広告などと連動させ、ブランドメッセージを強化する
ブランド認知向上と売上拡大、この両方を実現するには、目的に応じた使い分けが重要です。「ブランディングキャンペーン」と「セールスキャンペーン」を並行して走らせ、両者の相乗効果を狙う。あるいは認知度が高まった時点でセールス施策にシフトするなど、段階的なアプローチも有効でしょう。
いずれにせよ、ブランド認知向上においてもデータ分析は欠かせません。サイトへの流入数、ページ滞在時間、ページ遷移数など、ユーザー行動の変化を詳細に分析。ブランド施策の効果を定量的に把握し、PDCAを回していく。この地道な活動の積み重ねが、ブランド価値の向上と売上拡大の両立につながっていくのです。
まとめ:ECサイト運営に欠かせないリスティング広告を制する者が売上を制す
リスティング広告は、ECサイト運営に欠かすことのできない集客手法の1つです。本記事では、リスティング広告の基本知識から、売上アップにつなげるための運用テクニックまで、幅広く解説してきました。
EC・通販の世界で勝ち残るには、リスティング広告の運用力が大きな意味を持ちます。単なる広告出稿ではなく、デー タ分析に基づいた戦略的なアプローチが求められるのです。
本記事が、皆さまのリスティング広告活用の一助となれば幸いです。ぜひ、ここで得た知見を実践の場で活かし、売上アップと事業成長につなげてください。リスティング広告を制するものが、ECビジネスを制する。この言葉を胸に、新たな挑戦を開始しましょう。