ChatGPTに学習させない設定の方法を画像付きで徹底解説!

 
 

この記事でわかること

  • ChatGPTの学習機能とは
  • ChatGPTに学習させないメリットとデメリット
  • ChatGPTに学習させない設定方法5選を画像付きで解説
  • ChatGPTを企業での安全に活用するためのガイドライン
谷田 朋貴

監修者プロフィール

谷田 朋貴

一橋大学卒業後、伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社、Web専業広告代理店を経て、株式会社電通デジタルに入社。国内大手クライアントに対して、デジタル全体のプロモーション施策の戦略立案・実行に従事。また、生成AIを活用した自社業務の効率化にも取り組む。2023年12月、生成AIを活用した業務効率化支援を行う株式会社アドカルを創業。

ChatGPTは業務効率化に大きな可能性を秘めていますが、企業での活用においては機密情報の取り扱いが重要な課題となっています。本記事では、ChatGPTに情報を学習させないための具体的な設定方法から、企業での安全な活用に向けたガイドラインまで、実践的な知識を徹底解説します。セキュリティを確保しながらChatGPTの持つ可能性を最大限に活用するために、まずはこの記事で基礎知識を押さえていきましょう。

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ChatGPTの学習機能とは

ChatGPTは、最先端の人工知能技術を活用した対話型AIモデルですが、その中核となる機能の一つが、ユーザーとの対話を通じた学習機能です。

ChatGPTの学習機能は、大きく分けて「全体的な性能向上のための学習」と「個別化された応答のための学習」という2つの側面を持っています。全体的な性能向上では、世界中のユーザーから収集された対話データを分析し、より正確で有用な応答を生成できるようにモデルを改善していきます。一方、個別化された応答では、特定のユーザーや組織との対話履歴を参照することで、よりコンテキストに沿った適切な回答を提供することを目指しています。

ChatGPTの主な学習メカニズムは下記になります。

・データベースの継続的な拡充:新しい情報や表現パターンの蓄積
・フィードバックベースの改善:ユーザー評価に基づくモデルの調整
・コンテキスト理解の深化:会話の流れや意図の把握能力の向上
・レスポンス最適化:ユーザーの好みや要件に合わせた回答スタイルの調整

この学習プロセスは、入力されたすべての情報を対象としています。例えば、ユーザーが業務上の質問をした場合、その質問内容、含まれる専門用語、文脈、さらには回答に対するフィードバックまでもが学習データとして活用される可能性があります。これにより、ChatGPTは時間とともにより洗練された応答が可能になりますが、同時に企業にとっては機密情報の管理という観点で重要な検討課題となります。

特に注目すべき点として、ChatGPTの学習データは30日間システムに保持されることが挙げられます。これは、不適切な使用や悪意のある行為を監視するためのOpenAIのポリシーによるものです。このデータ保持期間は、たとえオプトアウト設定を行った場合でも適用されます。

また、ChatGPTの学習機能には、いくつかの重要な技術的特徴があります。例えば、文脈を理解するための「アテンション機構」や、より自然な対話を実現するための「トークン化処理」などが実装されています。これらの機能により、単なる単語の置き換えや定型的な応答ではなく、より人間らしい対話が可能となっています。

さらに、企業利用における重要な点として、ChatGPTの学習機能は組織固有の専門用語や業界特有の表現も学習対象としている点が挙げられます。これは業務効率の向上につながる可能性がある一方で、企業秘密や知的財産の保護という観点では潜在的なリスクとなり得ます。

このような特徴を持つChatGPTの学習機能は、効果的に活用することで業務効率の大幅な向上が期待できます。しかし、企業での利用においては、機密情報の保護とのバランスを慎重に検討する必要があります。次章では、この学習機能を制御することのメリットとデメリットについて、詳しく解説していきます。

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ChatGPTに学習させないメリットとデメリット

企業がChatGPTを活用する際、入力データを学習させないようにするオプトアウト設定は、重要な検討事項となります。この設定がビジネスにもたらす影響を、メリットとデメリットの両面から詳しく見ていきましょう。

企業が得られる3つのメリット

まず第一に、機密情報や個人情報の保護が確実に行えるというメリットがあります。例えば、製品開発に関する質問をChatGPTにする際、その情報が学習データとして保存されないため、競合他社への情報漏洩リスクを大幅に低減できます。金融機関での活用事例では、顧客データの分析タスクにChatGPTを使用する際、オプトアウト設定により、個人情報保護法やGDPRなどの規制へのコンプライアンス対応を確実に行えることが報告されています。

第二のメリットは、企業の知的財産や競争優位性の保護です。特に研究開発部門での活用において、革新的なアイデアや技術的なブレークスルーに関する対話内容が、ChatGPTの学習データとして他者に利用される可能性を排除できます。実際に、特許出願前の技術情報を扱う場面では、このオプトアウト設定が標準的な運用として採用されています。

第三に、社内コミュニケーションの秘匿性確保があります。人事評価や経営戦略に関する内部的な議論をChatGPTを用いて行う際、その内容が外部に漏れる心配がありません。特に、M&Aや組織再編などの機密性の高い案件を扱う場合、このメリットは極めて重要となります。

注意すべき2つのデメリット

一方で、ChatGPTの学習機能を無効化することには、看過できないデメリットも存在します。最も大きな課題は、AIモデルの性能向上への貢献ができなくなることです。企業特有の専門用語や業界特有の表現に対する理解度が向上しにくくなり、長期的には回答の質に影響を与える可能性があります。例えば、法律事務所での活用事例では、判例や法律用語に関する対話の学習が制限されることで、専門的な質問への回答精度が一般的な水準に留まるという報告があります。

もう一つの重要なデメリットは、対話の連続性や文脈理解の制限です。チャット履歴が保存されないため、長期的なプロジェクトや複雑な業務フローでの活用において、以前の対話内容を参照した継続的な作業が困難になります。これは特に、製品開発やマーケティング戦略の立案など、過去の議論を踏まえた意思決定が必要な場面で課題となります。

しかし、これらのデメリットは適切な対策により軽減することが可能です。例えば、重要な対話内容を社内システムに別途記録・保存する仕組みを構築したり、特定の業務や案件ごとに学習の可否を選択的に設定したりするアプローチが有効です。実際に多くの企業では、機密度に応じて柔軟にオプトアウト設定を使い分ける運用を行っています。

これらのメリット・デメリットを総合的に判断し、自社の状況に最適な設定を選択することが重要です。次章では、具体的なオプトアウト設定の方法について、詳しく解説していきます。

ChatGPTに学習させない設定方法5選を画像付きで解説

ChatGPTでの機密情報保護を確実にするため、利用目的や状況に応じて選択できる複数の設定方法が用意されています。ここでは、それぞれの方法の特徴や具体的な手順、注意点について詳しく解説していきます。

設定画面からのオプトアウト設定

最も一般的で即効性のある方法が、ChatGPTの設定画面からのオプトアウトです。この方法は、個人ユーザーから企業ユーザーまで、誰でも簡単に実施できる利点があります。

設定手順は非常にシンプルで、まずChatGPTのウェブサイトにログインし、右上のプロフィールアイコンから「設定」を押します。

設定手順は非常にシンプルで、まずChatGPTのウェブサイトにログインし、右上のプロフィールアイコンから「設定」を押します。

「データコントロール」を押して、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにします。


「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにして「実行をする」を押します。


この設定方法の特徴として、変更が即座に反映される点が挙げられます。

申請フォームからのオプトアウト申請

より包括的なオプトアウトを希望する場合は、OpenAIの公式申請フォームを通じた方法があります。この方法は、アカウント全体に対してオプトアウトを適用できる利点があります。


続いて、アカウントの有無について回答しましょう。アカウントがあれば「I have a ChatGPT account」を押します。

続いて、アカウントの有無について回答しましょう。アカウントがあれば「I have a ChatGPT account」を押します。


「Do not train on my content」を選択します。

「Do not train on my content」を選択します。


メールアドレスを入力して「Send Email」を押します。


届いているメールを確認して「Log In」を押します。

届いているメールを確認して「Log In」を押します。

同意事項にチェックを入れて、住んでいる地域や国を選択した後に「Submit Request」を押しましょう。


右の画面が表示されれば申請完了です。

右の画面が表示されれば申請完了です。


また、処理完了の通知メールが届くまでは、設定が有効になっていないことに注意が必要です。

API利用時の設定方法

API経由でChatGPTを利用する場合、デフォルトでオプトアウト状態となっているため、追加の設定は基本的に不要です。これは、APIの利用が主にビジネス目的であることを考慮した仕様となっています。

ただし、重要な注意点として、OpenAIのポリシーにより、入力データは30日間システムに保持されます。これは不正利用の監視や、システムの品質管理のために必要な措置とされています。この保持期間は変更できませんが、保持されたデータがAIの学習には使用されないことが保証されています。

企業でのAPI利用では、このデータ保持期間についてしっかりと理解し、社内のセキュリティポリシーと照らし合わせて運用方針を決定することが重要です。特に、高度な機密情報を扱う場合は、追加的なセキュリティ対策を検討する必要があります。

Enterprise版での設定方法

ChatGPT Enterpriseを導入している企業向けの設定方法は、最も高度なセキュリティとカスタマイズ性を提供します。Enterprise版では、組織全体のデータポリシーを一元管理できる管理者コンソールが提供されています。

管理者コンソールでは、組織全体のデフォルト設定はもちろん、部門やチームごとに異なる設定を適用することも可能です。例えば、研究開発部門は完全なオプトアウト設定を適用し、マーケティング部門は選択的なデータ共有を許可するといった柔軟な運用が可能です。

さらに、Enterprise版では以下のような高度なセキュリティ機能が利用可能です。

・シングルサインオン(SSO)との統合
・詳細なアクセスログの取得と監査
・カスタムデータ保持ポリシーの設定
・特定キーワードや情報パターンの入力制限

チャット履歴の無効化設定

最後に、チャット履歴の無効化設定について解説します。この設定は、単独でも他の設定と組み合わせても使用可能な補完的な保護層として機能します。

設定画面の「データ制御」セクションから、チャット履歴の保存を無効化することができます。この設定を有効にすると、過去の会話内容がOpenAIのサーバーに保存されなくなり、各セッションが独立した形で扱われるようになります。

ただし、この設定にも注意点があります。チャット履歴が保存されないため、以前の会話文脈を参照した継続的な作業が困難になります。そのため、重要な会話内容は別途社内システムに記録を残すなど、適切な運用方針を定めることが推奨されます。

加えて、企業での実践的な運用では、以下のような追加対策との組み合わせが効果的です。

・定期的なセッションのクリア
・会話内容の社内アーカイブ化
・重要度に応じた利用ガイドラインの策定

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ChatGPTを企業での安全に活用するためのガイドライン

企業でChatGPTを安全に活用するためには、技術的な設定だけでなく、包括的なガイドラインと運用体制の整備が不可欠です。ここでは、実務で即座に活用できる具体的なガイドラインと、その実装方法について詳しく解説していきます。

社内ルールの策定ポイント

効果的な社内ルールの策定には、現場の実態とセキュリティ要件のバランスが重要です。まず、ChatGPTの利用目的と範囲を明確に定義する必要があります。例えば、一般的な情報収集や文書作成には利用可能だが、顧客情報や製品仕様などの機密情報を含む業務では使用を制限するといった具体的な線引きが必要です。

特に重要な要素として、機密情報の分類と取り扱い基準の設定があります。企業の機密情報を以下のようなレベルに分類し、それぞれに応じた利用ガイドラインを設定することが推奨されます。

機密情報の分類と取り扱い基準
・最重要機密情報:ChatGPTでの使用を完全に禁止
・要機密情報:Enterprise版での使用のみ許可
・一般業務情報:オプトアウト設定下での使用を許可

また、利用記録の管理も重要な要素です。どのような情報をChatGPTに入力したか、その目的は何かを記録として残すシステムを構築することで、万が一の情報漏洩時の追跡や、不適切な利用の防止が可能となります。

セキュリティ対策の具体例

セキュリティ対策は、技術的対策と運用面での対策を組み合わせて実施することが効果的です。技術的対策としては、アクセス制御の実装が最も基本的な要素となります。特定のIPアドレスからのみアクセスを許可する設定や、VPNの使用を義務付けることで、外部からの不正アクセスを防ぐことができます。

データの暗号化も重要な要素です。ChatGPTに入力する前に、機密性の高い情報を匿名化または一般化する仕組みを導入することで、情報漏洩のリスクを低減できます。例えば、顧客名を仮名に置き換えたり、具体的な数値をレンジで表現したりする方法が有効です。

さらに、監視体制の整備も必要不可欠です。ChatGPTの利用状況を定期的にモニタリングし、不適切な利用や潜在的なリスクを早期に発見する仕組みを構築します。

従業員教育のポイント

ChatGPTの安全な活用には、従業員の適切な理解と運用が不可欠です。効果的な教育プログラムは、理論と実践の両面をカバーする必要があります。まず、ChatGPTの基本的な仕組みと、その学習機能がもたらすリスクについての理解を深めることが重要です。

実践面では、具体的なユースケースに基づいたトレーニングが効果的です。例えば、以下のような場面を想定したロールプレイング形式の研修を実施することで、より実践的な理解を促すことができます。

・機密情報を含む業務でのChatGPT利用判断
・適切なプロンプトの作成方法
・情報漏洩のリスクがある場合の対処方法
・セキュリティインシデント発生時の報告手順

また、定期的なフォローアップ研修も重要です。ChatGPTの機能や企業のセキュリティポリシーは常に進化していくため、最新の情報や事例を共有する機会を設けることが推奨されます。特に、以下のような要素を定期的に更新・共有することが効果的です。

・新しい機能やリスクに関する情報
・社内での活用ベストプラクティス
・発生したインシデントとその対策事例
・セキュリティポリシーの変更点

さらに、従業員の理解度を定期的に評価し、必要に応じて追加の教育を提供する体制を整えることも重要です。これにより、組織全体でのセキュリティ意識の向上と、ChatGPTの安全かつ効果的な活用が実現できます。

ChatGPTの学習機能の取り扱いは、企業での活用において最も重要な検討事項の一つです。本記事で解説してきたように、この機能は企業の生産性向上に大きく貢献する可能性を秘める一方で、適切な管理を怠ると重大なセキュリティリスクとなり得ます。

ChatGPTを企業で安全に活用するためには、技術的な設定、組織的な対策、そして人的な教育の三位一体のアプローチが必要です。これらを適切にバランスさせることで、セキュリティを確保しながら、ChatGPTがもたらす革新的な可能性を最大限に活用することが可能となります。企業は今後も、この強力なツールを戦略的な資産として、より安全かつ効果的に活用していくことが求められます。


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